労務コンサルティング(各種規程整備)
従業員雇用のリスクを把握し、必要な規程を整備しましょう。
病院経営を拡大するには従業員の雇用が必須です。従業員を雇用している以上、労務トラブルのリスクは隣り合わせにあります。宿日直に対する時間外・休日労働手当の問題など特有の問題があるにもかかわらず、医療機関は一般企業に比べ、労務トラブルに対する危機意識が低いように見受けられます。
労働基準法上、常時10人以上の労働者を使用する場合には、就業規則を定めて所轄の労働基準監督署に届け出る義務がありますが、個人経営の小規模な医療機関でも、無用な労務トラブルを避けるために、就業規則を定めておくことをお勧めします。これが定められていなくては、労働基準法や労働契約法等の労働関係法令がそのまま適用されることになってしまいます。
ただし、一度作成した就業規則を従業員に不利益となるように変更する場合は、原則として従業員の同意を得なければなりません。そのため、就業規則作成時や変更時には、従業員の同意をどのように取り付けるかも含めて、規程内容や周知方法を慎重に検討する必要があります。
なお、法律上は義務付けられていませんが、契約関係を明らかにするために、「雇用契約書」を作成しておくことが望ましいといえます。雇用契約書を作成する場合には、雇用契約書に労働条件を明示することで「労働条件通知書」に代えることができます。
また、雇用当初は非正規雇用としている医院であれば、キャリアアップ助成金等の各種助成金を活用し、負担の少ない労務管理体制を構築する必要があります。
このように、労務関係においては専門家でないと知り得ない難しい問題があります。当事務所は、社会保険労務士事務所も併設しており、法と労務、ふたつの知識を柱にトータルに医院経営をサポートします。
増加する不当解雇を理由とした労働審判を起こさないために。
従業員数があまり多くない個人経営の医院では、従業員との相性は円滑経営のための極めて重要な要素となります。しかし、個人的に相性が合わない、考え方が気に入らないなどの理由で解雇をすることは、不当解雇に当たり、金銭的な解決が必要となります。
不当解雇を解決金にて解決しようとすると、事例にもよりますが、少なくとも給料の半年分は覚悟しなくてはならないでしょう。百万円以上の出費と、その都度の弁護士費用、弁護士との打ち合わせや裁判所へ出頭しなくてはならない手間、労働基準監督署からの指導に対応する時間など、解雇の問題が顕在化すると、極めて膨大な時間とお金がかかります。
日常的に弁護士によるリーガル・チェックを受け、その病院ごとに合わせた雇用条件・勤務条件を確立し、解雇事由などについても明確に就業規則に定めておく必要があります。不当解雇は、弁護士による予防法務で回避できる典型的な法的トラブルといえるでしょう。
労働環境の整備は、従業員意識を向上させ、収益アップにつながります。
労務のトラブルは、業務の効率低下や他の従業員への悪影響を及ぼす可能性も大です。労務トラブルが発生しないよう、弁護士や社労士を通じて労務環境を整備することは、直接的に従業員の待遇を改善することとなります。これによって、従業員の病院に対する忠誠心や依存心が強まり、従業員個々人の日常的パフォーマンスが驚くほど向上します。
また、弁護士を使ってまで従業員の労務問題を考えているという真摯な姿勢を周知徹底することで、従業員からの医師個人に対する信頼感も大きく高まります。
一般的に、労務問題解決に費やす弁護士費用より、労務問題解決によって従業員のパフォーマンスが向上する売上アップの幅の方が大きく、病院の経営安定を目指すのであれば、第一に改善しなければならない箇所といえます。